「陥入爪」の原因と治し方|初期ケアから治療まで徹底解説

陥入爪とは、足の爪が皮膚に食い込み、炎症や強い痛みを引き起こす一般的なトラブルです。特に足の親指に多く、悪化すると肉芽ができて激痛を伴うことも。
本記事では、陥入爪の基礎知識から原因・症状・治療法までを徹底解説。自分に合った方法を見つけて、痛みから解放されましょう。
陥入爪の基礎知識
陥入爪とは?
陥入爪(読み方:かんにゅうそう)とは、足の爪が周囲の皮膚に食い込み、炎症や痛みを引き起こす状態のこと。
特に足の親指に多く見られ、症状が悪化すると歩行困難になるほどの激痛を伴うこともあります。


陥入爪と巻き爪の違い
▼ 爪の形状

【巻き爪】
爪が内側に巻いている状態を指します。爪の湾曲が強くなり、ひどい場合には爪が筒状になることもあります。
【陥入爪】
見た目では爪が巻いておらず、爪の端が周囲の皮膚に食い込んでいる状態です。炎症や出血・膿を有しています。
▼ 痛み
【巻き爪】
必ずしも痛みがあるわけではありません。また、爪の湾曲具合と痛みは比例せず、軽度の巻き爪でも痛い場合があったり、反対に重度の巻きでも痛みがない場合もあります。
【陥入爪】
炎症による痛みや、爪が皮膚に食い込む痛みがあります。
▼ 悪化した場合
【巻き爪】
皮膚が圧迫され続けると、皮膚に炎症が発生し、細菌に感染する可能性があります。
【陥入爪】
皮膚炎症が慢性化したり、細菌に感染すると、肉芽(にくげ:赤く盛り上がった組織)が発生することがあります。


陥入爪の原因|なぜ皮膚に爪が食い込むのか
「皮膚に爪が食い込み炎症を起こした状態」と説明されることが多い陥入爪ですが、何が原因で爪が皮膚に食い込むのでしょうか。
ここでは、陥入爪の原因を3つのケースに分けて詳しく解説します。
①爪の角や側面が鋭利な状態で皮膚に刺さる
爪が鋭利な状況で伸びると皮膚に傷をつけやすくなります。以下はその主な原因です。

深爪
陥入爪の原因の多くは深爪です。深爪をすると、爪が短くなった周囲の皮膚が盛り上がり、爪が伸びた際に皮膚に食い込みやすくなります。
また、深爪は、やすりがけしずらいので断面が鋭利になりやすく、次に説明する爪棘(そうきょく)の原因にもなります。
爪の切り残し(爪棘|そうきょく)
爪を切った際の切り残し(棘上|そうきょく)が残り、皮膚に刺さることで炎症を起こし陥入爪になります。
特に、爪の角を深く切りすぎたり、爪切りの切れ味が悪かったりすると、爪棘ができやすくなります。
爪の割れや欠け
乾燥した状態や衝撃が加わった際などに、爪は割れることがあります。
こうした割れた爪や欠けた爪は鋭利で、皮膚に刺さると陥入爪の原因になります。
爪をむしる
爪をむしったまま放置すると、むしった爪の断面が皮膚に刺さり陥入爪になることがあります。
爪切りでうまく切れなかったケースで起こることがあります。
②継続的な負荷や突発的な外力がかかる
継続的な負荷や外力が爪と皮膚にかかり陥入爪になることがあります。
窮屈な靴や足に合わない靴
足に合わない靴やつま先が細い靴を履いていると、爪が圧迫され、皮膚に食い込みやすくなります。
特に、靴先が細いヒールやパンプス、スポーツで使用するスパイクシューズ、バレエシューズなどは、陥入爪のリスクが高い傾向にあります。
スポーツによる負担
サッカーやバスケットボール、バレーボール、マラソンなどのスポーツは足に負担がかかる動作が多く、スパイクなどの靴の影響もあるため陥入爪になるリスクが高まります。
特に、爪先立ちや踏ん張り動作を繰り返すスポーツは、爪に負担がかかりやすいです。
外傷
突発的な外傷によっても陥入爪になることがあります。爪に物を落としたり、ぶつけたりすることで陥入爪になるケースがあります。
③その他の要因
上記の2つ以外にも、皮膚と爪が接触しやすい方は陥入爪になりやすい傾向があります。要因となるものは以下が挙げられます。
遺伝的要因・体質
遺伝的な要因や体質によって結果的に陥入爪になりやすい人もいます。
例えば、元々爪の周囲の肉がぷっくりしている方や、むくみやすい方などは、爪と皮膚が接触しやすい状況にあり、陥入爪のリスクが高まります。
体重増加
急激な体重増加で足にかかる荷重が増えると、爪周囲の皮膚が盛り上がり爪が食い込むリスクが高まります。
妊娠をきっかけに陥入爪になるケースもあるため、注意が必要です。


陥入爪の初期症状を見極めよう
陥入爪は症状が進行すると炎症が慢性化し、細菌感染などのリスクがあるため、初期症状を見極めて適切な対応を講じることが重要です。
陥入爪の初期症状を見逃さないように、下記のチェックリストを活用しましょう。
陥入爪の症状チェックリスト
【陥入爪の症状チェックリスト】
✔️ 爪端を押すと痛みが出る
✔️ 歩行時に痛みがある
✔️ 足の親指の爪周囲に赤みがある
✔️ 爪を伸ばすと痛い
✔️ 深爪が常習化している
✔️ 爪の周りの皮膚が炎症している
✔️ 周囲の皮膚から膿が出ることがある
上記のような症状が2つ以上見られた場合は、陥入爪の可能性があります。放置すると症状が悪化する恐れがあるため、早めに専門機関に相談しましょう。
陥入爪を放置するとどうなるの?
陥入爪を放置すると、悪化することはあっても自然な回復はあまり期待できません。
その理由は、日常の動作や靴による圧迫・摩擦が継続的な刺激となり、爪がさらに皮膚に食い込んでしまうからです。
さらに、こうした持続的な刺激によって皮膚のバリア機能が低下。免疫反応が弱まって細菌が侵入しやすくなり、炎症が悪化してさまざまな問題を引き起こします。


陥入爪の進行段階|初期症状から重症化までの流れ
巻き爪の痛みは、日常生活に大きな支障をもたらす厄介な問題です。
しかし、その痛みの種類(刺痛・圧迫痛・炎症痛)を理解すれば、それぞれに合った適切な対処法を取ることで、痛みを和らげることができます。
まずは痛みの原因を把握することで、快適な生活を送るための第一歩を踏み出しましょう!
初期症状|違和感や軽い痛み

症状
爪が皮膚に少し食い込んでいる状態で、爪の周囲に軽い違和感や痛みを感じます。まだ炎症や目立った腫れはありません。
具体例
歩行中や靴を履いたときに、わずかな圧迫感や違和感がある。爪の角の周囲が少し赤くなっている。
軽度の症状|腫れや赤み

症状
爪がさらに食い込み、周囲に腫れや赤みが現れます。痛みが強くなり、靴を履いたり歩いたりすると不快感を伴います。
具体例
爪の端が皮膚に食い込み、赤みや腫れが目視で確認できる状態。爪を押すと痛みがある。
中度の症状|膿や出血

症状
細菌に感染して膿や出血が見られる段階です。食い込んだ部分が深くなり、痛みが日常生活に影響を与え始め、炎症が広範囲に及ぶ可能性があります。
具体例
爪の周囲に黄色い膿が見られる。ズキズキとした痛みがある。長時間歩くと出血が生じる。
重度の症状|肉芽(にくげ)や激しい痛み

症状
炎症が慢性化すると、肉芽(赤く盛り上がった柔らかい組織)が形成されます。激しい痛みで日常生活が困難になるケースや、感染が進行し足元だけでなく全身に影響を及ぼす場合もあります。
具体例
肉芽が形成され、爪が深く皮膚に埋まっている状態。歩行や触れるだけで強い痛みがある。
肉芽について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

陥入爪の治し方|進行度別の治療法とセルフケア
陥入爪の治療法は、症状の進行度合いによって異なります。軽度のうちはセルフケアで改善する場合もありますが、悪化すると専門的な治療が必要になります。
ここでは、症状の進行度別に、適切なセルフケアや治療法を詳しく解説します。
初期症状|違和感や軽い痛みの場合
【治し方】自宅でのセルフケアが中心
初期段階の陥入爪は、正しいケアを行うことで改善できる場合が多いです。
①正しい爪切り
深爪や、爪切りの失敗は陥入爪の主な原因です。正しい爪の切り方を実践することは、陥入爪の予防や改善の観点から重要です。
正しい陥入爪の切り方を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

②靴の選び方
窮屈な靴は爪を圧迫し、陥入爪を悪化させる原因となります。つま先に余裕のある靴を選び、爪への負担を軽減しましょう。
③清潔を保つ
爪の周囲が汚れていると炎症が悪化したり細菌感染するリスクが高まります。爪の周囲を清潔にして悪化のリスクを抑えましょう。
軽度の症状|腫れや赤みがある場合
【治し方】セルフケア+矯正処置
腫れや赤みが出始めた場合は、セルフケアに加え、爪の矯正処置を行うのが効果的です。
方法① 市販の軟膏を使用
ステロイド配合の市販薬は炎症を抑えるために効果的です。用法と用量を守り、症状の改善が見られない場合や、症状が悪化した場合は病院を受診しましょう。
※患部が化膿している場合は、抗生物質も配合されている商品を使用しましょう。ステロイドのみの薬を使用すると、免疫抑制作用が働き化膿が悪化する恐れがあります。
方法② テーピング
病院でも行われている手法で、テーピングを皮膚に貼ることで爪の食い込みを軽減します。
テーピングの貼り方は下記で紹介しています。

方法③ 陥入爪矯正
矯正によって爪と皮膚の接触回数を抑制して、炎症の緩和を目指します。プレートやワイヤーを使用した方法が一般的です。
中度の症状|膿や出血の場合
【治し方】医療機関を受診
膿や出血がある場合は、セルフケアでは改善が難しく、早急に皮膚科を受診することが重要です。
STEP① 皮膚科を受診
膿や出血がある場合は、なるべく早く皮膚科を受診しましょう。早急に適切な処置を行うことが重症化を防ぐポイントです。
STEP② 膿や出血を抑える
膿や炎症がある場合は、皮膚科で抗生剤入りの塗り薬・消毒・処置・必要に応じて 内服薬(抗生剤)などで炎症を抑えることがあります。
化膿や腫れが強い場合には、部分的に爪を除去する処置が行われることもあります。
STEP③ 陥入爪矯正(出血や膿が治った後)
膿や出血が治まったら、陥入爪矯正を行うことで、再発を予防することができます。
重度の症状|肉芽(にくげ)や激しい痛みの場合
【治し方】専門医による治療
炎症が慢性化すると、肉芽(赤く盛り上がった柔らかい組織)ができることがあります。この段階では、専門医による治療が必要です。
選択肢① 肉芽の治療
肉芽に液体窒素を当てて治療する液体窒素療法や、爪と皮膚の間にアクリル製チューブを挿入するガター法などが行われます。
選択肢② 肉芽の除去
重度の肉芽が形成されている場合は、爪母の除去と平行して肉芽の除去も行うことがあります。
選択肢③ 手術(フェノール法など)
重度の陥入爪や症状を繰り返す場合、手術が選択されることがあります。爪母(そうぼ:爪の成長を司る組織)を除去することで、陥入爪の再発防止を目指します。
陥入爪矯正とは?
陥入爪矯正は、爪の上から専用のプレートを貼り付け、食い込んだ爪の端と皮膚の間に「隙間」を作ることで、炎症や痛みをやわらげながら自然治癒をサポートするアプローチ方法
手術や抜爪をすることなく、再生途中の皮膚が爪に触れ続けることを防ぎ、正常な回復を促すのが最大の特徴です。


陥入爪矯正と巻き爪矯正の違い
陥入爪矯正が特に有効なのは「併発型」
陥入爪と巻き爪は原因が重なるケースが多く、同時に起きることも珍しくありません。
両方の症状を併せ持つ場合、同じプレート装着で両方にアプローチできるため、もっとも効果が期待できます。

陥入爪と巻き爪の併発について





※(対象:巻き爪に悩む10代~80代の350名|セルフ型アンケートツールFreeasy使用)
陥入爪と巻き爪が併発する理由
巻き爪と陥入爪は、おおよそ同じ原因によって生じるため、併発する場合があります。
例えば、深爪や足の形に合わない靴の使用、遺伝的要素、体重増加などは、巻き爪・陥入爪双方の主な原因となります。
そのため、巻き爪が原因で陥入爪が悪化することも、陥入爪が原因で巻き爪が悪化することもあります。
陥入爪と巻き爪併発による悪影響
陥入爪と巻き爪が併発すると、炎症や出血を起こしている箇所に巻き爪が食い込み、激しい痛みを伴います。
また、常に爪が皮膚に食い込んだ状態となるため、皮膚の自然治癒を妨げ、陥入爪が長期化しやすくなります。
さらに巻き爪による刺激が加わることで、細菌感染や膿の発生、炎症の慢性化、肉芽形成のリスクが高まるなど、陥入爪単独で発生するよりも症状が複雑化してしまいます。
陥入爪と巻き爪が併発している場合の対処法
巻き爪と陥入爪が併発している場合は、まず皮膚の状態を改善してから巻き爪矯正を行います。具体的な治療方針は以下を参考にしてください。
【併発型(陥入爪+巻き爪)の治療方針】
出血や膿がない場合 → 巻き爪矯正を行う
出血や膿がある場合 → 出血や膿の治療を優先し、状態が改善してから巻き爪矯正を行う。
軽度の肉芽を伴う場合 → 肉芽の治療を優先し、状態が改善してから巻き爪矯正を行う。
膿や出血を伴う肉芽がある場合 → 出血、膿、肉芽の治療を優先し、状態が改善してから巻き爪矯正を行う。
陥入爪についてのよくある質問
間違った爪の切り方:深爪や爪の角を丸める切り方は、陥入爪の再発を招きやすいです。爪はまっすぐに切り、角をわずかに残すことが重要です。
足に合わない靴:窮屈な靴やハイヒールなどは、爪を圧迫し、陥入爪を悪化させる原因となります。つま先に余裕のある靴を選び、爪への負担を減らしましょう。
【手の陥入爪の主な原因】
深爪:手の爪を深く切りすぎると、陥入爪になることがあります。
ジェルネイル: ジェルネイルによって爪が圧迫され、陥入爪を引き起こすことがあります。
手作業:手先に過度な負荷がかかるような作業(例:楽器演奏、タイピングなど)は、陥入爪のリスクを高めることがあります。
外傷:爪に強い衝撃が加わると、陥入爪になることがあります。
ひょう疽は細菌感染による炎症のため、放置すると危険です。指が赤く腫れ、ズキズキと強い痛みを感じる場合は、自己判断せず早めに皮膚科を受診しましょう!
まとめ
この記事では、陥入爪の基礎知識から原因、症状、治療法までを網羅的に解説しました。ご自身の症状に合わせて適切なケアや治療法を選択し、早期改善を目指しましょう。
特に、症状が改善しない場合や悪化している場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。この記事を読んで「もしかして陥入爪かも?」と思った方は、まずは無料の陥入爪チェックをお試しください。





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