陥入爪で「肉芽」ができたけど、自分で治せる?肉芽の原因・症状・治療法まで完全ガイド


ああ、これは陥入爪による「肉芽」じゃな。

この記事では、そんな肉芽の役割や発生のメカニズムなどの基礎知識から、悪化の原因や進行した際の具体的なリスク、治療法まで詳しく解説。
陥入爪自体について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

まずは肉芽について理解しよう|肉芽の基礎知識



じつは肉芽は、傷口が治癒する過程で非常に重要な役割を担っています。
ここでは肉芽とは一体どういうもので、どのように形成されるのか詳しく解説します。
肉芽っていったい何?

肉芽(にくげ)とは、傷口が治る過程で自然にできる、赤く盛り上がった組織のことです。
毛細血管や線維芽細胞などが集まってできており、傷口の修復を助ける重要な役割があります。
肉芽の見た目の特徴
肉芽はまるで新しい皮膚が作られている途中のような見た目をしています。

色: 鮮やかな赤色~ピンク色
表面: ブツブツとした、またはザラザラとした顆粒状に見える
感触: 湿っていて柔らかい
その他: 豊富な毛細血管を含んでいるため、触ると出血しやすい
肉芽ができるメカニズム
肉芽がどのように形成されるのか、そのメカニズムを3つの段階に分けてご紹介します。
1.炎症期
傷口に細菌や異物が侵入するのを防ぐため、免疫細胞が駆けつけ炎症反応が起こります。
【主な役割】
・創傷部の清掃: 細菌や異物を除去します。
・組織修復の準備: 次の段階に向けて、必要な物質を放出します。
2.増殖期(肉芽形成期)
新しい血管が形成され、肉芽組織の基本構造を構成します。線維芽細胞が増殖し、コラーゲンを生成することで肉芽組織が作られます。
【主な役割】
・組織修復: 傷口を埋めるための新しい組織を作ります。
・肉芽組織の形成: 血管と線維芽細胞、コラーゲンで肉芽組織を形成します。
3.成熟期(再構築期)
肉芽組織が徐々に成熟し、瘢痕組織へと変化します。コラーゲンの種類が変化し、より強固な構造へと再編成されます。
【主な役割】
・組織の強化: 傷口をより丈夫にします。
・創傷部の閉鎖: 傷口を完全に塞ぎます。
これらの段階を経て、肉芽は傷口の治癒を力強くサポートします。
肉芽は、傷口が治ろうとしている証拠であり、健康な治癒には欠かせない存在なのです。

でも、すごく腫れるし痛いのよ!

肉芽の悪化段階とその原因
肉芽は、傷口が治癒する過程で自然にできる組織ですが、様々な要因によって悪化し、治癒を妨げることがあります。
肉芽が悪化する要因と、進行度ごとの症状の特徴やリスクを見ていきましょう。
肉芽が悪化する要因
肉芽が悪化する要因としては、主に以下が考えられます。
基礎疾患
糖尿病や自己免疫疾患など、一部の基礎疾患は肉芽の治癒を遅らせる原因となることがあります。
傷口への刺激
摩擦や圧迫、衣類との接触など、傷口が外部からの刺激を受け続けると、肉芽組織が炎症を起こし悪化することがあります。
また、傷口を触ったり、ガーゼ交換時の摩擦によっても炎症が起こりやすくなるので注意が必要です。
血流障害
血管の圧迫、末梢血管疾患などにより血流が滞ると、肉芽組織への栄養や酸素の供給が不足し、治癒が遅れたり悪化したりすることがあります。
細菌感染
黄色ブドウ球菌などによる細菌感染が起こると、炎症が広がり、膿が出たり肉芽組織が破壊されたりすることがあります。
異物の混入
傷口に砂やホコリなどの異物が混入すると、炎症を引き起こし、肉芽の治癒を妨げます。
肉芽が悪化する進行段階と特徴
こうした要因を受けてそれを放置すると、肉芽はどんどん悪化していきます。悪化していくまでの流れやリスクを見て行きましょう。
第1段階:初期症状
肉芽の発生: 肉芽が発生し、盛り上がりが目立つようになります。
痛みや違和感: 触れると痛みを感じたり、ズキズキとした違和感が生じたりすることがあります。
出血しやすい: 刺激を受けると出血しやすくなります。
第2段階:炎症の進行
炎症の拡大: 肉芽周囲の炎症が広がり、赤みや腫れが増します。
痛みや熱感の増強: 痛みや熱感が強くなり、日常生活に支障をきたすことがあります。
感染のリスク: 細菌感染のリスクが高まり、さらに炎症が広がる可能性があります。
第3段階:膿や出血の発生
膿の蓄積: 細菌感染すると、膿が溜まり、排膿されることがあります。
出血: 肉芽が刺激されると出血を起こすことがあります。
悪臭: 感染が起こると、悪臭を放つことがあります。
第4段階:慢性化と合併症のリスク
慢性化: 炎症が慢性化し、治りにくくなります。
瘢痕組織の形成: 肉芽が硬い瘢痕組織に置き換わり、見た目にも影響が出ます。
合併症: 感染が全身に広がる敗血症や、蜂窩織炎などの合併症を引き起こすことがあります。


肉芽は自分で治せる?効果的なケアと注意点

陥入爪による肉芽は、進行段階によって適切なケアや治療法が異なります。
ここでは、自分で肉芽を対処する際に大切な知識やセルフケア方法、医療機関を受診する目安について解説します。
セルフケアで効果的な肉芽の範囲
肉芽の進行段階によってはかえって症状が悪化したり、治療が長引く可能性があるため、セルフケアが効果的な状態を見極めることは非常に重要です。
以下を目安にセルフケアを行いましょう。
セルフケアが有効な肉芽の症状
痛みの程度:触れると少し痛みがある程度で、普段はそこまで気にならない
炎症や腫れ:肉芽周囲の赤みや腫れがわずかにある程度
肉芽の大きさ:肉芽の大きさが数ミリ程度
出血や感染:肉芽から出血したり、感染の兆候がない
肉芽を自分で治す際に大事なこと
適切なセルフケアを行うために重要なポイントが3つあります。これらをしっかりと念頭に置いた上でセルフケアを行いましょう。
1. 患部を安静にする
長時間歩く、長時間の立ち仕事、ランニングなど、爪に負担がかかる行為はなるべく避けましょう。
日常的な動作でも爪の刺激が肉芽に加わるため、週末だけでも自宅で安静にするなど、少しでも肉芽に負担がかからない状況を作るように心がけましょう。
靴や靴下、ストッキングなどによる圧迫は、爪の食い込みを助長する原因となります。靴はつま先が幅広いものを選び、ストッキングはオープントゥのものを使用するなど、指になるべく負担がかからないようにするのが理想的です。
2. 清潔保持
創傷治癒の観点からも、傷口を清潔に保つことが重要です。
肉芽がある場合は、浸出液や膿などによって汚れやすく、症状が悪化しやすい状態です。
入浴の際は、泡立てた石鹸で優しく洗い、流水で丁寧に洗い流した後、塗り薬を使用して肉芽の炎症や感染を抑えましょう。
3. 誤ったケアを行わない
「傷口が細菌感染しないように」と消毒を繰り返すと、逆に治りが遅くなることがあります。消毒液には細胞を傷つける作用があり、傷を治そうとする細胞まで壊してしまうためです。
傷口を清潔にしたい場合は、流水でやさしく洗い流すだけで十分です。
肉芽に刺激を与えたり、無理やり肉芽を取ったりするのはやめましょう。出血や感染のリスクが高まり、痛みや症状が悪化する恐れがあります。
自分でできる肉芽の対処法
肉芽を改善するには、食い込んだ爪と肉芽の接触をいかに緩和させるかが重要です。
以下に、自分でできる肉芽の対処法を3つご紹介します。

1.テーピング
テーピングは、軽度の肉芽であれば有効な場合があります。テーピングで皮膚を引っ張り、爪と肉芽の接触を緩和することで、症状の悪化を防ぎます。
ただし、肉芽や炎症が皮膚の広範囲に及んでいる場合は、テーピングを貼ることで悪化する恐れがあるため注意が必要です。
2.コットンパッキング
爪と肉芽の間にコットンを詰めるコットンパッキングも、軽度の肉芽であれば有効な場合があります。
ただし、詰めるコットンの量や交換頻度を正しく行わないと、症状の悪化や感染リスクが増すため注意が必要です。
3.市販薬の使用
ドラッグストアや薬局で購入できる消炎鎮痛剤や、ステロイドや抗生物質配合の塗り薬は、一時的な応急処置として有効です。用法・用量を守って使用しましょう。
セルフケアの限界と医療機関への切り替えタイミング
セルフケアで改善が見られない場合や、症状が悪化する場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
特に、以下の症状が見られる場合は、専門医の診察が必要です。
強い痛みや腫れ:日常生活に支障をきたすほどの痛みや腫れがある場合。
膿が出る:肉芽から膿が出ている場合、細菌感染の疑いがあります。
出血が止まらない:肉芽からの出血が止まらない場合。
症状の悪化:セルフケアを行っても症状が改善しない、または悪化している場合。

肉芽のセルフケアについてよくある質問
正しいセルフケアを2週間続けても改善しない場合は医療機関を受診しましょう。
ゲンタシン軟膏と同じものが欲しい場合には、病院で医師による適切な診断を受け、その指示による処方箋が必須です。
肉芽のケアをする際は、流水で汚れや浸出液を丁寧に洗い流し、市販薬又は処方された軟膏を塗布しましょう。
医療機関で受けられる肉芽治療
肉芽の治療は、症状の程度によって異なり、医療機関で受けられる治療法も多岐にわたります。
ここでは、おすすめの診療科や、医療機関での治療法について解説します。
陥入爪による肉芽は何科に行けばいい?
陥入爪による肉芽の治療は、皮膚科、形成外科、外科で受けることができます。 肉芽の進行度合いによって適切な治療法が異なるため、症状に合った診療科を選ぶことが重要です。
軽度~中度の肉芽の場合→皮膚科
皮膚科では、軽度から中度の肉芽に対して、保存療法や薬物療法を中心とした治療が行われます。
重度の肉芽の場合→形成外科・外科
形成外科や外科では、保存療法では改善が見られない肉芽に対して、外科的な処置が行われます。
▶︎ どの診療科を受診すればよいか迷った場合は?
皮膚に関する治療を専門に行う「皮膚科」を受診するのがおすすめです。
そこで外科的処置が必要と判断された場合、近隣の病院を紹介してもらえることがあります。
医療機関での肉芽治療
医療機関では「肉芽治療」と「原因治療」の2つの工程で行われます。
まず肉芽自体の治療や周囲の皮膚の治療を行い、その後に、肉芽の原因でもある陥入爪の治療で再発防止を目指します。
以下が主な肉芽の治療内容です。
1.肉芽治療
感染対策
患部の洗浄や消毒、必要に応じて抗菌薬の外用・内服を行い、感染の拡大を防ぎます。清潔な環境を整え、治療後の合併症や再発リスクを低減することが狙いです。肉芽の破壊
液体窒素で肉芽を凍結させることで肉芽の細胞を破壊します。細胞を破壊することで、新しい組織の再生を促します。肉芽の除去
過剰な肉芽組織が形成され、治癒を妨げる場合、局所麻酔下で肉芽を除去(切除)します。これにより 正常な創傷治癒を促し、痛みや炎症の軽減を図ります。
2.原因治療(陥入爪の治療)
肉芽の原因となっている陥入爪がある場合、その部分または全体の除去・矯正手術を行います。 根本原因を取り除くことで、再発の防止と長期的な治療効果を高めることが目的です。
肉芽の再発防止に重要な「陥入爪治療」
肉芽の治療において、再発予防は非常に重要な課題です。
肉芽の根本原因である陥入爪を治療せずに肉芽だけを除去しても、再発する可能性が非常に高くなります。
そのため、肉芽治療が終わったら、陥入爪の治療も行うことが重要です。
【主な治療内容】
陥入爪矯正(ワイヤー・プレートなど)
ガター法
アクリル人工爪
手術(爪母の処理など)
陥入爪の治療についての詳しい情報はこちらからご覧ください。

巻き爪研究所でも陥入爪矯正を行なっております。


まとめ
この記事では、陥入爪と肉芽の基礎知識から、悪化原因、セルフケア、医療機関での治療法までを解説しました。
陥入爪から発生する肉芽は放置すると慢性化しやすく、痛みや腫れ、膿や出血などを伴います。
初期段階であれば、テーピングなどのセルフケアも有効な場合がありますが、少しでも不安を感じたら早めに専門医に相談しましょう。
早期の治療が肉芽の悩みから解放される近道です。




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博士、どうしよう!