陥入爪治療は何科が適切?症状別の治療法を詳しく解説



早期の治療は、陥入爪をスムーズに改善する近道。
陥入爪治療のあれこれ|治療法・費用・診療科について
陥入爪の治療法は、症状の段階によって大きく変わります。
軽度であれば簡単な処置で済む場合もありますが、重症や再発を繰り返す場合は、爪を根本的に改善する治療や手術が必要です。
ここでは、症状別の治療法・おおよその費用・治療を受けられる施設について解説します。
陥入爪の治療は何科?

爪科なんてないよね。
陥入爪の症状は皮膚との関連が強いからのう。

「爪が皮膚に食い込んで痛い」「膿が出ているかもしれない」といった症状がある場合や、陥入爪かどうかわからない場合は、まずは皮膚科を受診するとスムーズです。
そこで外科的処置が必要と判断された場合は、必要に応じて形成外科や別の専門機関を紹介してもらえることがあります。
陥入爪治療の方向性は二種類
陥入爪の治療は主に「今ある炎症や痛み・感染リスクを抑える悪化防止」と「爪の変形を改善して再発を防ぐ根本改善」の2つの方向性があります。
▶ 陥入爪治療の方向性
悪化防止:今ある炎症や痛み、感染のリスクを抑える
皮膚科が中心となり、炎症を鎮めたり感染を防ぐための処置を行います。
根本改善:爪の変形そのものを改善して再発を防ぐ
皮膚科・形成外科・巻き爪矯正院など、複数の選択肢があります。


悪化を防ぐための処置

「皮膚の赤みや腫れ、膿や出血がある」「肉芽ができている」など、陥入爪が進行している状態では、まず「炎症や感染の拡大を防ぎ、痛みを和らげる処置」が優先されます。
以下は主な方法と費用の目安です。
① テーピング法やコットンパッキング
爪と皮膚の接触を物理的に緩和し、炎症を抑えます。
費用目安: 数百円~1,000円程度(保険適用)
受診先: 皮膚科
② 抗生物質の投与
細菌感染を抑えるために、内服薬や外用薬を使って炎症を鎮めます。
費用目安: 数百円~数千円程度(保険適用)
受診先: 皮膚科
③ 切開排膿
局所麻酔後に皮膚を切開し、溜まった膿を排出して痛みと炎症を軽減します。
費用目安: 約2,000円(保険適用)
受診先: 皮膚科・形成外科
④ 液体窒素療法
肉芽を凍結させ、壊死させることで新たな皮膚の再生を促進します。
費用目安: 数百円~1,000円程度(保険適用)
受診先: 皮膚科
⑤ 部分抜爪(部分切除)
局所麻酔後、皮膚に食い込んでいる爪の一部を切除して治癒を促します。
費用目安: 約5,000円(保険適用)
受診先: 皮膚科・形成外科
これらの処置はいずれも「症状の進行を防ぐ」ことが主目的で、爪の変形や根本的な原因を取り除くわけではありません。
状態が落ち着いた後は、再発防止のための矯正や根本治療を検討することが大切です。
根本改善を目指す治療
陥入爪は爪の形状や周囲の皮膚とのバランスが乱れていると、何度でも再発しやすいのが特徴です。
炎症がひとまず落ち着いたら、下記のような「爪を正しい形に整える」治療法を選択することで再発リスクを減らせます。
① 陥入爪矯正(ワイヤー・プレート・クリップなど)
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ワイヤーやプレートで少しずつ爪を広げ、皮膚への食い込みを解消します。
費用目安: 数千円~1万数千円程度(自費治療の場合が多い)
受診先: 皮膚科、巻き爪矯正院
② ガター法

局所麻酔後、爪と皮膚の間に細いチューブを入れて、爪が皮膚を圧迫しないようにします。肉芽があっても並行して改善が可能です。
費用目安: 5,000円~1万円程度(自費治療の場合が多い)
受診先: 皮膚科・形成外科
③ アクリル人工爪
アクリル樹脂で理想の爪の形状を作り、皮膚への負担を軽減します。深爪でも装着できるのが特徴です。
費用目安: 5,000円~1万円程度(自費治療の場合が多い)
受診先: 皮膚科・形成外科・ネイルサロン
④ 手術(爪母の処理など)

爪母(爪を再生する組織)をフェノール法・NaOH法・鬼塚法などで処理し、再発しにくい状態にします。重度や再発を繰り返す場合に検討します。
費用目安: 5,000円~1万数千円程度(保険適用)
受診先: 皮膚科・形成外科
※費用はあくまで目安であり、実際の費用は医療機関や治療内容によって異なります。
※施設によって行う治療法も異なるため、受診時にしっかり相談しましょう。


根本改善を目指すなら、どの治療がおすすめ?
▶ 重要なポイント
爪が単に皮膚に刺さっている「陥入爪」のみの場合と、爪そのものが大きく湾曲している「巻き爪」が併発しているケースでは、選ぶべき治療法や考え方が異なります。
巻き爪併発型の陥入爪の場合
巻き爪が原因で爪が皮膚に刺さりやすくなり、結果的に陥入爪を繰り返してしまうケースでは、「巻き爪矯正」が最適です。
「陥入爪なのに巻き爪矯正?」と疑問に思われるかもしれませんが、爪が強く湾曲していると皮膚との接触面が増え、炎症や損傷が起こりやすくなります。
そのため、陥入爪の原因でもある “巻いた爪” そのものを矯正し、皮膚の再生を阻害しないようにすることが大切です。
おすすめは「プレート矯正」
巻き爪矯正にはワイヤーやクリップなどさまざまな方法がありますが、陥入爪を併発している場合には「プレート矯正」が特に適しています。

爪の上部にプレートを貼るタイプなので、皮膚と接触するワイヤーやクリップタイプに比べ、弱っている爪周囲の皮膚に負担をかけにくいというメリットがあります。
▶ 膿や出血など強い炎症がある場合には
皮膚科での処置を優先しましょう。膿や出血を放置したままでは矯正の効果が十分に得られず、痛みや感染が悪化するリスクもあります。
症状が落ち着いてから、改めて巻き爪矯正を行うのがおすすめです。
陥入爪のみの場合
爪の湾曲がさほど強くないものの、皮膚への接触部位に痛みや炎症が出ている場合は、「陥入爪矯正」が最適です。
これは爪を深く切除したり、爪母を除去する手術とは異なり、爪へのダメージを最小限に抑えながら矯正するアプローチ法です。
陥入爪矯正の場合も「プレート矯正」がおすすめ
陥入爪矯正の手法としては、巻き爪矯正と同様に「プレート矯正」を選ぶケースが多いです。
ただし矯正方法は同じでも、陥入爪矯正では巻き爪自体を広げるのではなく、爪と皮膚の間に隙間を作って接触を減らすことが主な目的になります。
爪の形状や陥入爪の原因によっては効果が出にくい場合があるので、専門家に相談しながら治療法を決定しましょう。
陥入爪矯正(プレート矯正)の効果が出にくいケース
❖ 爪の湾曲が弱く、通常よりも平らな爪の場合
プレートを貼っても、爪と皮膚の間に十分な隙間ができにくいため、効果が得られにくいことがあります。
❖ 体質的に爪が皮膚に埋まりやすい、または爪周囲の皮膚が盛り上がっている場合
プレートでの持ち上げがうまく働かず、皮膚との接触が改善されにくいケースもあります。
いずれの場合も、炎症や出血があるときはまず優先して皮膚科で処置を受けることが大切です。
症状が落ち着いてからプレート矯正を行うことで、根本改善が期待できます。

▶ 巻き爪矯正
施術目的:巻いた爪を徐々に正常な形へ整える
爪の圧迫がやわらぎ、見た目の改善や歩行時の痛みの軽減が期待できる
▶ 陥入爪矯正
施術目的:爪と皮膚の接触・圧迫を緩和し、自然な治癒を促す
炎症・赤み・腫れ・痛みの軽減、悪化の予防につながる
陥入爪に効果的なプレート矯正とは?


プレート矯正とは
形状記憶素材を使用した厚さ0.2mmほどの特殊な透明のプラスチックプレートを、専用の接着剤で爪の上に貼り付けることで、巻き込んだ爪を徐々に正常な形に戻す治療法です。

陥入爪矯正を目的とする場合でも、巻き爪矯正を目的とする場合でも、基本的な矯正の仕組みは変わりません。
※ただし、プレートの種類や強度は爪の形状や目的に合わせて調整します。
プレート矯正の最大のメリットは、爪周囲の皮膚が弱っている陥入爪への負担が小さいこと。
爪と皮膚へのダメージを最小限に抑えつつ、自然回復を促しながら矯正を進められるため、痛みが少なく炎症等の再発リスクを抑えられます。
プレート矯正のその他のメリット
1.矯正中の痛みが少ない
形状記憶プレートを爪の表面に貼るため、爪や周囲組織への負荷が軽微です。施術中はもちろん、矯正期間中も過度な痛みはほとんどなく、爪が変形したり割れるリスクも低減されます。
2.日常生活にストレスなく矯正可能
プレート矯正では、施術直後から運動や入浴、靴の着用など普段通りの生活を送れます。
プレートが透明なため見た目にもほとんど影響がなく、ネイルなどのおしゃれも楽しめます。
※ただし、ジェルネイルは巻き爪の原因になりやすい場合があるため、矯正中は避けてください。
3.形状記憶のプレートによる即効性
形状記憶素材のプレートが持つ反発力で爪を広げるため、施術直後から痛みが軽減されるケースが多く見られます。
アンケート調査によると、半数以上が施術直後から効果を実感、9割以上が2週間以内に効果を感じたと回答しており、早期の痛み軽減が期待できます。
4.再発しにくい
矯正期間中は、プレートを少しずつ爪の根元側に移動しながら装着を続けます。これにより、巻き爪を根本から矯正でき、再発リスクを極限まで抑えられます。
5.爪の厚さや形に関わらず対応できる
専門資格を持つ巻き爪矯正師が、一人ひとりの爪の厚みや形状に合わせてプレートの強さや大きさ、貼る位置を調整するため、幅広い爪のタイプに対応できます。
6.深爪の状態でも対応可能
プレートは爪の表面に貼るだけなので、深爪が原因の陥入爪でも問題ありません。
「爪を伸ばさないと矯正できないと言われた」「痛くてどうしても深爪してしまう…」などの悩みがあっても、スムーズに施術を開始できます。
プレート矯正に興味がある人はこちらをご確認ください。

改善が難しい症状は手術を検討
プレート矯正だと効果を出しにくい場合やプレート矯正を試しても改善が見られない場合は、「陥入爪手術」を検討しましょう。
陥入爪手術とは
陥入爪手術は、皮膚に食い込んでいる爪と、その原因となる爪母(そうぼ:爪を生成する組織)の両方を処理する方法です。
爪母を処理すると、食い込んでいる部分の爪が再生しなくなるため、再発リスクが大幅に低減します。
ただし、以下のようなリスクもあるため、実施は慎重に検討しましょう。
・爪の端を切除するため、爪幅が狭くなる(見た目の違和感)
・爪母の処置が不十分だと、爪が再び再生してしまう可能性がある
手術は皮膚科または形成外科で受けられます。

病院によっては日帰り手術も可能ですが、症状や手術内容により入院が必要なケースもあります。
手術の詳しい内容は以下の記事で解説しています。

陥入爪手術は最終手段
陥入爪手術は、保険が適用される場合が多く、治療の確実性が高い一方で、爪幅が狭くなったり、爪が再生しなくなるといった後遺症が発生する可能性があります。
そのため、手術は最終的な選択肢として慎重に検討することが重要です。
特に軽度や中等度の巻き爪であれば、手術を行わずとも改善が期待できる治療法が多く存在します。
症状が比較的軽い場合は、セルフケアや陥入爪矯正を優先的に試し、それでも改善が見られない場合や、日常生活に深刻な影響が出ている場合に手術を検討するという段階的なアプローチを推奨します。

最後に|陥入爪の再発を防止
陥入爪の治療を行ったとしても、原因が取り除かれていないと再発する可能性があります。
陥入爪の主な原因
深爪
爪切りの失敗
窮屈な靴の使用
足の指に負担がかかるスポーツ
(サッカー・バスケ・マラソンなど)突発的な外傷
詳しい内容を知りたい方や、自分は陥入爪かな?と迷っている方はこちらもご覧ください。


せっかく陥入爪を治しても、再発してしまっては意味がない。再発を防ぐためにも原因から取り除くんじゃぞ!まとめ
陥入爪は放置すると細菌感染などの深刻なトラブルにつながる恐れがあるため、早期に症状に合った治療法を選ぶことが重要です。
なかでも巻き爪を併発している場合は、巻き爪矯正を並行して行うことで痛みや再発リスクを大幅に軽減できます。
また「プレート矯正」は、初期の陥入爪や巻き爪併発型に適した矯正法として注目されています。
どの段階でも、自己判断よりまず専門機関の診察を受けることが、早期回復と再発予防の近道です。





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